非常に良い質問です。
結論から言うと、「業務委託方式やシェアサロンのネイルサロンはこれから増えるが、主流にはなりにくい」というのがリアルな見方です。
以下に、現場の実態・経営側・ネイリスト側のそれぞれの立場から、なぜそう言えるのかを整理します。
1. シェアサロンや業務委託サロンが増えている表面的な理由
まず、確かに今後数年で業務委託方式を導入するサロンは増えるでしょう。
理由は単純で、サロン経営のコスト構造にあります。
- 社会保険料・雇用保険・有給などの固定費を削減できる
- 繁忙期・閑散期に応じて人件費を変動させやすい
- 勤務時間や日数に縛られず、「フリーのネイリスト」を取り込みやすい
経営側から見ると、固定費を持たずにスタッフを抱えられるため、
採用難の時代には一見「賢い選択肢」に見えるのです。
この構造的な流れ自体は、全国的に広がる傾向があります。

2. ただし「流行っても長くは続かない」理由
ここが最も重要なポイントです。
業務委託は経営が楽に見えるだけで、サロン運営の安定には繋がりにくいという現実があります。
●(1)スタッフの入れ替わりが激しく、顧客が定着しない
委託スタッフは独立志向が強く、短期的に働いて辞める傾向があります。
結果として、お客様が「この人にまたお願いしたい」と思っても、
次回にはそのネイリストがいない、という状況が起きやすい。
これは、顧客満足度・再来率の低下に直結します。
●(2)ブランドが育たない
サロン全体で統一した接客やデザインの方向性が持てず、
「ただの場所貸し」に見えてしまいます。
SNSや口コミでの一貫性が崩れ、ファンが付きにくいという致命的な弱点があります。
●(3)トラブル時の責任の所在が曖昧
業務委託契約では、労働者ではなく事業主同士の関係になるため、
クレームや返金、衛生管理の責任範囲が不明確になります。
ネイルは技術職であり施術にミスが起こることもあるため、
この「責任の所在のあいまいさ」は運営トラブルの大きな火種になります。
3. ネイリスト側も自由そうで自由じゃない
SNSでは「業務委託=自由に働ける」といった印象を与えがちですが、
実際には次のようなリスクが潜んでいます。
- 予約が入らなければ収入ゼロ
- 材料費や光熱費の一部自己負担
- 確定申告・税金処理など事務作業の負担増
- 保険・年金の自己管理リスク
これらを理解せずに「時給が高そう」と飛びつくと、
結果的に正社員のときよりも収入が安定せず、
生活が不安定になるケースが非常に多いです。
4. トレンドの先に見える二極化
今後は、ネイル業界全体が次のように二極化していくと考えられます。
- 短期収益型の業務委託サロン(流行だが離職率が高い)
- 安定雇用型のブランドサロン(信頼と再来率で長期的に成長)
消費者(お客様)の目が肥えてきている今、
「安くて早い」よりも「信頼できる人にお願いしたい」という価値観が強くなっており、
この流れは業務委託サロンにとって逆風になります。

5. 現実的な見通し
- 確かに業務委託サロンは増える(流行る)
- しかし、経営の安定・ブランドの信頼・顧客定着という3点では続かない
- 結果として「一時的な流行」で終わる可能性が高い
- 10年単位で見れば、安心して働ける正社員型・ハイブリッド型(固定+歩合)が主流になる
もし貴サロンのように「クーポンサイトを使わず、リピート率で安定している店舗」であれば、
業務委託には安易に流れず、自社ブランドの信頼を積み重ねる方向が正解です。
業務委託ブームが過ぎた後、「ちゃんとした職場」で働きたい人たちは必ず戻ってきます。
シェアサロンも業務委託と同じく「流行るが、長続きしにくい」構造
むしろ、シェアサロンのほうが一見自由そうに見えて、継続が難しい現実があります。
以下、現場で実際に起きていることをリアルに整理します。
1. シェアサロンが一時的に増える理由
確かに最近、東京や福岡でもシェアサロン型が増えています。
背景には、業務委託と同じく「固定費を減らしたい経営者」と
「自分のペースで働きたいネイリスト」の思惑が一致しているからです。
- 自分でお客様を持っているネイリストは、
家賃を払っても売上のほとんどを自分の収入にできる - 経営者は、ブース貸しするだけで安定した家賃収入を得られる
一見、両者にメリットがあるように見えます。
ですが、これは条件が整った一部の人にしか成り立たないモデルです。

2. シェアサロンが長続きしないリアルな理由
(1)お客様が定着しにくい
シェアサロンでは、お店の看板やブランドの信用力が弱いため、
お客様が「ここに行こう」ではなく「この人に行こう」という動機になります。
つまり、ネイリストが辞めればお客様もいなくなる。
そのため、顧客がサロンに残らない構造なのです。
(2)雰囲気・清潔感・接客ルールの統一がない
各自が自由に空間を使うため、
音楽の好み、服装、接客トーン、清掃意識などにバラつきが出ます。
結果として「落ち着かないサロン」と感じられやすく、
美意識の高いお客様ほど離れていく傾向があります。
(3)固定費は軽くても、集客コストが重い
独立したネイリストは自分で集客をしなければなりません。
Instagramやホットペッパー掲載、広告費などを考えると、
月に数万円の家賃が安くても、実質のコストは高くなりがちです。
多くのネイリストが「集客ができず撤退」しており、
実際、半年以内に離れるケースも少なくありません。

(4)孤独と不安の積み重ね
職場仲間や相談できる先輩がいないため、
技術の伸びや人間的な成長が止まりやすい。
メンタル面の孤独から、数年で燃え尽きてしまう人も多いです。
「自由」と引き換えに「孤独」を抱える働き方といえます。
3. シェアサロンでうまくいく人・いかない人の違い
成功するのは、以下のような一握りの人です。
- 既に固定のお客様を100人以上持っている
- SNS運用が得意で、新規を自力で集客できる
- 金銭管理・税務処理を自分でこなせる
- 技術・接客のクオリティが高く、口コミで広がる人
一方で、多くのネイリストは上記の力をまだ育てている途中です。
そのため、サロン勤めからいきなりシェアサロンに移るのはリスクが大きいのです。

4. 美意識の高いお客様ほど、安定した環境を選ぶ
これは実際の傾向として明確です。
高単価で継続して通うお客様は「誰がやるか」だけでなく、
どんな空間・雰囲気・信頼の中で施術されるかを重視します。
シェアサロンのようにネイリストが頻繁に入れ替わる場所は、
「落ち着かない」「信頼感がない」と感じられやすく、
結果的に安定的な客層を獲得できないのです。
5. まとめ
- 業務委託もシェアサロンも確かに流行中だが、持続性が低いビジネスモデル
- 経営者もネイリストも、「責任の分担」が曖昧でトラブルになりやすい
- 安定的に通ってもらえるサロン作りには不向き
- 自由さを求めるより、「信頼される環境」で技術を伸ばす方が結果的に収入も安定する
つまり、一時的な自由を得るかわりに、長期的な信用を失うのがシェアサロンと業務委託方式の落とし穴です。
「福岡アンドネイル」のように、技術と信頼を積み重ねていくスタイルの方が、
最終的にはお客様にもスタッフにも選ばれるサロン経営になります。

