入社したら「業務委託」と言われたあなたへ。最初に絶対しておきたい大切なこと
「明日からよろしくね。契約はまた今度でいいから」
そんなふうにサロン側から言われて、何となく働き始めてしまった。そんな経験はありませんか?
最近では、福岡をはじめ多くのエリアでネイリストの募集に「業務委託」という言葉が増えてきました。正社員やアルバイトと違って、業務委託という働き方は自由度が高く、給与も歩合制が多いため、高収入を目指したい人には魅力的に映るかもしれません。
でもその一方で、「契約書がない」「勤務時間があいまい」「休憩時間もとれない」「報酬が不安定」など、トラブルも多く聞かれます。私自身も、はじめて業務委託としてサロンに入ったとき、説明が口頭だけで済まされてしまい、後々もめた経験があります。
何より大切なのは、「契約書を交わすこと」です。これは、働く側・雇う側、どちらにとっても身を守る大事なステップになります。とくに、業務委託という形は法律上「労働者」ではないため、一般的な社会保険や労働基準法の保護を受けられないケースがほとんど。だからこそ、事前にしっかり確認しなければなりません。
たとえば、業務内容・業務時間・報酬の算出方法(時給・月給ではなく歩合の場合も多い)・支払日・材料費の負担・キャンセル時の扱い・交通費の有無・禁止事項などが明記されているかが重要です。
また、契約書をかわさずに働き始めてしまうと、後から「そんな説明は受けていない」「そんな約束してない」といった食い違いが生じた際に、証拠が残らず自分の立場が弱くなることもあります。
ネイリストという仕事は、お客様との信頼で成り立つ仕事です。だからこそ、サロンとの間にも最初から信頼関係が必要です。そしてその信頼の第一歩が、しっかりと契約を交わすことにあると、私は思っています。
契約書がないまま働くリスク。あとから「言った・言わない」は通用しない
実際に多いのが、契約書を交わさずに働き始めてしまい、あとから「お給料が思っていた額と違う」「材料費を引かれるなんて聞いていない」といったトラブルです。
たとえば面接の場で「月に20万円くらいはいけると思いますよ」と言われたとしても、それが契約内容として保証されるわけではありません。業務委託契約では、あくまで出来高制や歩合制での報酬が基本。お客様が入らなければゼロ、ということもありえます。
さらに問題なのは、こうしたトラブルが起きても、「それなら辞めてもいいよ」と一方的に言われてしまうケース。業務委託の場合、労働基準法の「解雇」に関するルールが適用されません。つまり、正社員やアルバイトなら違法となるような突然の契約終了も、業務委託であれば法律上は問題にならない場合が多いのです。
私の知っているネイリストも、福岡市内のあるサロンで契約書を交わさないまま働き始め、数ヶ月後に「思っていたよりお給料が少ない」と伝えたところ、「そういう人は向いてないから、もう来なくていいよ」と言われてしまいました。とても悔しい思いをしていましたが、契約がなかったため、法律的にも守られる立場ではありませんでした。
こういった背景からも、最初に「契約書があるかどうか」「そこに報酬や条件が明記されているか」を確認することがどれだけ大切か、よくわかると思います。
不安を感じたら、まずは相談を。ひとりで抱え込まないで
「これっておかしくないかな…」
「でも業務委託って、こういうものなのかな…」
そんなふうに悩んでいるうちに、誰にも相談できず、気づけば我慢し続けてしまっていた。そんなネイリストさんに何人も出会ってきました。
業務委託という働き方は、自由度が高い反面、トラブルが起きても「自己責任」とされてしまいやすい面があります。ですが、だからといって泣き寝入りする必要はありません。
働き方や報酬のこと、契約のことなど、専門的な立場からアドバイスしてくれる相談機関があります。相談することで、今後どう動けばいいのか、自分の中でも気持ちが整理されることが多いです。
労働条件相談ほっとライン
厚生労働省が設置している無料の相談窓口です。業務委託であっても、働き方によっては「労働者」とみなされ、保護の対象になることもあります。全国どこからでもかけられ、土日祝・夜間も対応しているので心強い存在です。
- 電話:0120-811-610(フリーダイヤル)
福岡中央労働基準監督署
福岡市内で働いている場合、最寄りの労働基準監督署にも相談できます。特に、勤務内容や指示のされ方が実質的に雇用に近い形である場合は、「偽装請負」にあたる可能性もあります。
- 住所:福岡市中央区赤坂1丁目10-17
- 電話:092-761-5600
法テラス(日本司法支援センター)
契約書がないまま働かされた、お給料が支払われない、トラブルがこじれてしまった…そんな場合には、法律の専門家に相談するのもひとつの方法です。法テラスでは無料の法律相談や、必要に応じて弁護士費用の立て替え制度も利用できます。
- 電話:0570-078374
- サイト:https://www.houterasu.or.jp/
業界経験者や信頼できるサロンオーナーにも相談を
同じ業界で長く働いてきた人の言葉は、何より現実的で実感があります。実際に業務委託で悩んだ経験がある人や、契約内容を明確にして働きやすい環境を整えているサロンの話を聞くことで、自分にとっての「安心できる職場」のヒントが見えてくるかもしれません。
たとえば福岡アンドネイルでは、採用の時点から契約書の取り交わしを大切にしており、報酬や勤務時間、福利厚生などもきちんと明記された形で説明しています。もし今の働き方に疑問を感じたら、他のサロンのやり方を知ることで比較ができ、自分の方向性を見つけやすくなります。
契約書で確認しておきたいポイント一覧。ここがあいまいだと後で後悔します
ネイリストとして業務委託で働くなら、契約書の中身をしっかり確認することが本当に大切です。サロンとの信頼関係があるからといって、口約束だけに頼ってしまうと、あとでトラブルが起きたときに「そんな話はしていない」と言われてしまう可能性があります。
ここでは、契約前にチェックすべき項目をひとつひとつ解説していきます。すべてを細かく理解する必要はありませんが、「これは書いてある?」「これは聞いてみたほうがいいかも」と、疑問を持つきっかけにしてもらえたらと思います。
報酬の金額と支払い方法
- どのくらいの割合で報酬がもらえるのか(歩合率、売上○%など)
- 素材費・施術代などの負担の有無
- 支払い日はいつか(月末締め翌月○日など)
- 税込みか税抜きか(消費税の扱い)
報酬(お給料)は最もトラブルになりやすい部分です。「時給や月給ではなく、売上の○%」という表記になっていることが多いため、シミュレーションしてみることも大切です。
勤務時間・出勤日・シフトの取り決め
- 出勤日や時間の決め方(自由シフトか、指定ありか)
- 1日あたりの最低勤務時間や予約枠
- 急なキャンセルが入った場合の対応
業務委託は「自由な働き方」と言われますが、実際には「ほぼ毎日出勤して」と言われることも。勤務時間が実質的に固定されている場合は、契約内容との矛盾がないか確認を。
場所・施術設備・備品の使用について
- 勤務地(店舗名・住所)
- どこまでがサロン側の負担で、どこからが自己負担か
- 自分の道具を持ち込めるか、支給されるか
消耗品や材料費が自己負担の場合は、月にどれくらいかかるかも把握しておくと安心です。
キャンセル時・トラブル時の対応
- 予約キャンセルが入った場合の報酬は?
- お客様トラブル(返金・クレームなど)の対応は?
- 無断欠勤や遅刻があった場合のペナルティ
曖昧なままだと、「お客様がキャンセルしたから報酬なし」と言われることも。働いた時間が無駄にならないよう、対応ルールを明記してもらいましょう。
契約の終了条件・更新について
- 契約期間の明記(○ヶ月単位・自動更新かどうか)
- 双方の都合で終了したい場合の通告期限(例:1ヶ月前)
- 途中終了のペナルティの有無
急な退職やトラブル時、「すぐ辞めたいのに辞められない」とならないよう、終了の条件も必ず確認しましょう。
その他:禁止事項や独自ルール
- 副業や他サロンとの掛け持ちに制限があるか
- SNSや作品画像の使用ルール
- 退職後の顧客対応について(顧客引き抜き禁止など)
自由な働き方を選ぶからこそ、ルールがあること自体は悪いことではありません。ただし、納得できる内容かどうかを見極めることが大切です。
契約書は「もらう」だけでなく「理解してからサインする」
ネイリストとして、福岡や各地で長く安心して働くためには、こうした基本的な契約内容をきちんと確認し、納得したうえで契約することが本当に大切です。わからない言葉があれば、遠慮せず質問してOKです。相手が誠実なサロンなら、丁寧に説明してくれるはずです。
面接や初回打ち合わせで「必ず確認しておきたい」質問リスト
契約書は大事。でも、いざ面接や初回の顔合わせの場になると、何を聞けばいいのかわからなくなってしまう人も多いと思います。
「細かいことを聞いたら、面倒な人だと思われるかな…」
「まだ入るか決めてないのに、質問するのは失礼かな…」
そんなふうに感じる方もいますが、むしろしっかり確認してくれる人のほうが、真剣に働こうとしていると受け取られます。
ここでは、業務委託契約を前提としたネイリストの採用面接で、安心して働くために聞いておきたい質問例をまとめました。
報酬や支払いについての確認
- 売上の○%という歩合制とのことですが、材料費や光熱費は引かれますか?
- 月にどのくらいの売上があれば、〇万円の報酬になりますか?
- 報酬の支払いはいつ、どんな方法で行われますか?(月末締め翌月〇日振込など)
- 消費税の扱い(源泉徴収や自分で申告する必要があるか)も教えてください
報酬に関することは、聞きづらくても絶対に確認したほうがいいです。お金の話が曖昧なままだと、どんなに環境がよくても安心して働けません。
働き方やシフトについて
- シフトは自由に決められますか?それとも指定された出勤日がありますか?
- 1日あたりの勤務時間に決まりはありますか?
- 予約が入らなかった時間は、何をして過ごすことになりますか?
- 急なキャンセルが入った場合、報酬はどうなりますか?
自由度の高い業務委託でも、実際は「ほぼ毎日出てね」といったルールがあるサロンもあります。想定と違う働き方にならないよう、事前に確認しましょう。
契約や終了の条件について
- 契約書はいついただけますか?事前に確認できますか?
- 契約期間はありますか?自動更新ですか?
- もし合わないと感じた場合、契約を終了するにはどのような手続きになりますか?
- 契約終了後、お客様への対応(担当の引き継ぎなど)はどうなりますか?
終了の条件を曖昧にしたままスタートすると、「辞めたいのに辞めさせてもらえない」「退職後にトラブルが起きた」といった事例もあります。
福利厚生やサポート体制について
- 独立や開業支援、スキルアップのサポートなどはありますか?
- 保険や税金まわりのアドバイスはありますか?
- 教育制度(研修、練習会)はありますか?
業務委託という立場でも、長く働いてほしいと考えているサロンは、こうしたサポート体制をしっかり整えています。制度が整っているかを見るのは、サロンの誠実さを見極めるポイントにもなります。

質問は「確認」ではなく「信頼関係の第一歩」
たとえ質問が多くなっても、それは安心して働くために必要なことです。むしろ何も聞かずに不安を抱えたままスタートする方が、お互いにとってよくありません。
私自身も、しっかり質問できるようになってからは、自分に合う職場を見つけやすくなりました。ネイリストとして長く働いていくなら、まず自分自身を大切にすること。それが信頼関係を築く第一歩だと思います。
安心して働けるサロンの見極め方。契約前に気づいておきたい大切なこと
「業務委託でもいいから、早く働きたい」
「未経験だけどチャンスをもらえたから頑張りたい」
そんな気持ちになるのもわかります。実際、求人情報を見ていると、業務委託契約でネイリストを募集しているサロンは年々増えています。でも、その背景には少し注意しておきたい事情もあります。
本来、業務委託という契約は「個人で仕事を請け負う」働き方。会社に雇われる正社員やアルバイトとは、責任の持ち方も、守られる権利もまったく異なります。それなのに、何も説明がないまま、いきなり「うちは業務委託だから」と言われてしまうお店も、残念ながら少なくありません。
私の経験上、最初から業務委託契約しか用意されていないサロンは、経営がまだ安定していないか、資金面で余裕がない可能性があります。人を雇うリスクを避けるために、あえて労働契約ではなく業務委託を選んでいることもあるのです。
もちろん、すべての業務委託が悪いというわけではありません。中には、自由な働き方を尊重し、明確な契約内容と十分な報酬を用意してくれている誠実なサロンもあります。
ただし、「未経験でもいいからとにかくここで働こう」と無理に進めてしまうと、トラブルや後悔につながることが多いのも事実です。
何もわからないまま、収入も不安定で、保証もない状態でスタートするのは、ネイリストとしての未来を狭めてしまう可能性もあります。勇気を出して断ることも、立派な選択です。選ばれる立場ではなく、選ぶ立場として、もっと自分を大切にしていいんです。
自分を守るのは、自分だけ。だからこそ「慎重に選ぶ」ことを大切に
安心して働けるサロンとは、以下のようなポイントがそろっているところです。
- 契約書をきちんと交わしてくれる
- 面接や打ち合わせで報酬や条件を丁寧に説明してくれる
- 相談や質問にもきちんと答えてくれる
- スタッフの定着率が高く、雰囲気が安定している
- 教育制度やスキルアップの仕組みが整っている
- 福利厚生やサポート体制が明確になっている
ネイリストの仕事は、人をキレイにする素敵な仕事です。でも、自分自身が安心して働ける環境でなければ、お客様にも本当の意味で向き合えなくなってしまいます。
どんな働き方が合うかは、人それぞれです。福岡でも、正社員やアルバイトを募集しているサロン、業務委託だけど条件が明確なサロン、スクール併設で育成に力を入れているサロンなど、選択肢はたくさんあります。
焦らなくて大丈夫です。自分の人生を、自分のペースで選んでいきましょう。

