美容業界は華やかなイメージの裏側で、「離職率の高さ」が常に課題とされてきました。厚生労働省のデータによれば、「生活関連サービス業、娯楽業」に分類される職種――美容師やネイリストを含む業界――の就職3年以内の離職率は、全産業の中でも高水準で推移しています。
たとえば、短大卒業者において、就職後3年以内に離職する割合は約40%前後。中でも美容業界は、給与の低さや労働時間の長さ、職場の人間関係などを理由に、早期離職が目立つ状況です。
ネイリストの現場も例外ではない
ネイル業界でも同様の傾向が見られます。特に福岡・博多や天神エリアのようにネイルサロンの激戦区では、クーポン集客による価格競争、1人あたりの施術件数の多さ、休憩の取れなさなどがストレス要因になり、結果として離職につながるケースが少なくありません。
また、正社員雇用が少なく、業務委託や歩合制などの形態が主流であるため、安定した収入を得ることが難しいという声もよく聞かれます。
働き方改革の流れとネイル業界の変化
こうした課題を受けて、厚生労働省では「美容業の振興指針」を掲げ、長時間労働の是正、待遇の透明化、多様な働き方の推進などを求めています。実際に、美容室やネイルサロンでもこうした変化は少しずつ進んでおり、「業務委託でも安心して働ける環境づくり」に取り組むサロンも増えてきました。
たとえば、福岡にある《アンドネイル》では、クーポンサイトを使わない独自の営業スタイルを展開。施術時間に余裕を持たせ、スタッフが焦らず丁寧に接客できる仕組みを整えています。無理な回転重視をやめたことで、お客様の満足度もアップし、リピーターも増加。結果として、ネイリストの離職率低下にもつながっています。
選ばれる職場になるために
今後の美容・ネイル業界で求められるのは、「スタッフが長く働ける職場づくり」です。収入面の安定はもちろん、働く時間の自由度や人間関係のストレス軽減、ライフステージに応じた柔軟な働き方の提供が、定着率を高める鍵となるでしょう。
ネイルサロンにおいても、業務委託だからこそ実現できる「自由な働き方」を魅力として打ち出しつつ、制度やサポート体制を整えることで、職場の満足度は大きく変わります。
【厚生労働省データで読み解く】美容業界の離職率と働き方改革のコラム
美容業界は、他の産業と比較して高い離職率が課題となっています。厚生労働省のデータによれば、短期大学等を卒業した就職者のうち、「生活関連サービス業、娯楽業」(美容業を含む)における就職3年目までの離職率は、調査産業全体と比べて高い傾向にあります。
また、株式会社リクルートが行った「美容サロン就業実態調査2024年」によると、初職が美容師の方の3年未満の離職率は36.7%であり、主な転職理由として「給与に関して不満があったから」(27.8%)、「結婚・妊娠・出産のため」(18.8%)、「拘束時間に関して不満があるから」(15.6%)が挙げられています。
このような状況を受けて、美容業界では働き方改革が進められています。厚生労働省の「美容業の振興指針」では、従業員が多様な働き方を選択できる職場環境の整備が求められており、具体的には長時間労働の是正や公正な待遇の確保、職場のハラスメント対策などが挙げられています。
参考:美容業の振興指針
実際に、株式会社社会起業家パートナーズでは、19種類の雇用形態・給与体系を導入し、スタッフがライフステージに応じて柔軟に働ける環境を整備しています。また、長時間労働削減のため、「ノー残業デー」や「20分後退社」などの制度を設け、労働環境の改善に取り組んでいます。
参考:働き方改革取り組み事例
さらに、株式会社ウノプリールでは、シャンプーとカラーリングに特化した新業態を開発し、休眠美容師の積極的な採用を行っています。これにより、技術力に不安を持つ休眠美容師でも復職しやすい環境を提供しています。
これらの取り組みは、美容業界の離職率低下と働き方改革に向けた重要な一歩となっており、今後も多様な働き方を支援する環境整備が求められています。


