ネイルを作り続けて28年。サロンワークがやっぱり好き
はじめまして。この記事を読んでくださってありがとうございます。私は現在、福岡でネイルサロンを経営しています。ネイルの仕事に出会ってから、もう28年が経ちました。今では経営という立場にいますが、やっぱりサロンワークが一番好きです。お客様の手に触れ、言葉を交わしながらデザインを形にしていく時間。それは今でも、私にとって大切な瞬間です。
20代の頃にネイルの世界に入り、当時はまだネイルサロン自体が珍しかった時代。ジェルもなければ、ネット予約もない。それでもネイルという仕事がすごく新鮮で、夢中になって続けてきました。
今でこそ「ネイリストになりたい」「福岡でネイルの仕事を探している」と言う若い方が増えましたが、私が始めた頃は「ネイルで仕事になるの?」と何度も聞かれました。そんな時代からずっと、この業界を見てきた立場として、これからネイリストを目指す人たちに伝えたいことがあります。
周りの声に振り回されず、自分の目の前のお客様を大事にしてきた
28年も同じ業界にいると、いいことばかりではありませんでした。仕事に誇りを持って真剣に取り組んでいても、嫉妬や勘違いから生まれる誤解、心ない言葉に傷つけられることもたくさんありました。
特にネイリストとして独立してからは、噂話や陰口のようなものとも何度か向き合いました。「あの人は●●らしいよ」「最近調子に乗ってるよね」なんて、小さな業界だからこそ広まりやすいこともあります。
でも、私は一度もそういう人たちと同じ土俵に立たないように心がけてきました。誹謗中傷に反応すればするほど、同じレベルに落ちてしまうからです。悔しい気持ちはもちろんあります。でも、そういう言葉を発する人ほど、いずれみずから立ち止まってしまう。結局は、お客様に選ばれ続ける人が生き残る世界なんです。
私自身、何かを証明しようと躍起になるのではなく、ただ目の前のお客様に満足して帰ってもらうこと。それだけを積み重ねてきました。信頼は一日にして築けるものではありません。誠実に、静かに、自分の技術と向き合うこと。それがいつの間にか、たくさんのリピーターや仲間を引き寄せてくれていた気がします。
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謙虚さを忘れたとき、人は足元をすくわれる
長くこの業界にいると、「ああ、やっぱり…」と思わされる瞬間があります。実力があっても、お客様がたくさんついていても、自信が「過信」に変わってしまうと、人はつまずく。そんな場面を何度も見てきました。
「天狗になる」とはよく言ったものです。調子のいいときほど、自分を客観的に見ることは難しい。でも、どんなに人気があっても、謙虚さを忘れた人からは、お客様の信頼がすっと離れていくものです。
私のまわりにも、まるでお手本のようにその道をたどっていった人がいました。技術力は確かで、お客様も多く抱えていた方でした。でも、スタッフへの言葉づかいや、お客様との距離感が次第にずれていって、最終的には独立したサロンも上手くいかなくなってしまった。
その姿を間近で見ていた私は、どんなときも「人としての姿勢」を見られているということを忘れないようにしています。ネイリストという仕事は、技術職でありながら、究極は人と人との関係で成り立っています。技術だけでは、長く愛され続けることはできない。これは経営者になった今でも、常に自分に言い聞かせていることです。

次の世代に、もっと自由で誇れるネイリスト人生を
経営という立場になってから、一番意識しているのは「人を育てる」ということです。もちろん、技術を教えることも大事。でもそれ以上に、ネイリストとしてどう生きていくか、自分らしい働き方をどう選んでいくか。そういう部分を伝えられる大人でいたいと、常に思っています。
福岡には、本当に素直でがんばり屋な若いネイリストさんがたくさんいます。でも一方で、「長く続けられる働き方がわからない」「将来が不安」と、目の前の仕事に悩んでいる子も多いです。実際に、私のところにも転職希望で相談に来るネイリストがあとを絶ちません。
そんな彼女たちに伝えたいのは、「仕事=我慢」じゃないということです。ネイリストは、お客様に喜んでもらえる素敵な仕事。でも、自分をすり減らし続けるような環境では、どんなに好きなことでも心が離れてしまいます。
だから私は、サロンの中でできるだけ自由に働けるように工夫しています。施術時間に余裕を持たせたり、クーポンサイトに頼らず本当に価値を感じてくれるお客様だけに来てもらったり。ネイリスト自身がやりがいを感じながら働ける環境を作ることが、何よりも大事だと考えています。
人がついてくるのは、資格ではなく人としてのあり方
ネイルの世界には、いろんな資格があります。もちろん、学んで取得することは素晴らしいことだし、自信にもつながります。でも、現場で長く仕事をしていると、はっきり感じることがあります。人は、ただ資格を持っているからといって自然についてくるわけではない、ということです。そこに勘違いした人たちが多くいました。
お客様も、スタッフも、周りの仲間たちも、見ているのはその人自身。たとえば言葉づかいや気配り、仕事に対する姿勢や心の余裕。そういったものが自然とにじみ出る人にこそ、信頼が集まり、また会いたいと思ってもらえるんだと思います。
ネイリストとして長くやってきた今、私が大切にしているのは「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえる人でいること。どれだけ技術があっても、どれだけ立派な肩書があっても、現場では人としてどうかという部分が問われます。
福岡アンドネイルには、資格がまだ浅くても、お客様に心を寄せる接客ができるネイリストがたくさんいます。むしろ、そういう子たちほど、リピーターに恵まれて長く活躍しているのが現実です。技術はあとからでも磨ける。でも、相手を思う心は、持っていないと育たない。私が人を見るときに一番大切にしているのは、そこです。

これからの時代、どこで働くかよりどう働くか
ネイリストという仕事は、どこで働くかより、どう働くかのほうが大事だと思っています。どれだけ有名なサロンに勤めていても、自分らしく働けなければ、続けるのは難しい。逆に、小さなサロンでも自分らしい働き方ができれば、日々が充実して、自然と結果もついてくるものです。
最近では、福岡でも業務委託やフリーランスという選択肢が増えてきました。自由に見えるけれど、その分リスクもあるし、全部をひとりで抱えるのは大変です。転職や独立を考えるときは、「今の自分が、何を大切にしたいのか」を見極めることが一番大切です。
私自身も、ずっと雇われていたわけではありません。経営に回るまでは、試行錯誤の連続でした。いいと思って入ったサロンでも、空気が合わなかったり、自分のやりたいこととズレがあったり。だからこそ、今は「ネイリストが無理なく働ける場所」を本気で作りたいと思っています。
福岡アンドネイルでは、誰かのペースに無理に合わせる必要はありません。それぞれの得意やリズムに合わせて、無理なく働けるようにしています。働き方を見直したい、もっとお客様との時間を大切にしたい。そんな想いを持つネイリストには、きっと合う場所だと思います。
ネイルの仕事は、技術を超えた人とのつながりをくれる
28年という時間の中で、私がこの仕事をやっていてよかったと心から思える瞬間は、やっぱりお客様とのつながりです。ネイルはただ爪を美しくするだけじゃなくて、その人の毎日をほんの少し明るくする力がある。施術中の会話の中で、不安を打ち明けてくれることもあれば、嬉しい報告をしてくれることもある。そういう誰かの人生に触れる瞬間が、この仕事の一番の醍醐味です。
私はこの仕事を通して、たくさんの大切なご縁をいただきました。ネイルをきっかけに長いお付き合いになるお客様、仕事の中で出会って支え合う仲間たち。そして、私のもとに学びに来てくれた若いネイリストたち。技術職なのに、こんなにも人が中心にある仕事って、実は少ないんじゃないかと思います。
これからネイリストを目指す人たちには、焦らず、周りと比べすぎず、自分のペースで歩いていってほしいと思います。たとえ今はまだ自信がなくても、人との関わりを大切にしていれば、自然と道はひらけていくものです。
福岡でネイリストの仕事を探している方、転職や働き方に迷っている方へ。どこかに「本当の自分でいられる場所」があるはずです。「福岡アンドネイル」も、そんな場所のひとつでありたいと願っています。
田口裕子(yuno)について
福岡アンドネイル代表・田口裕子(yuno)は、28年間ネイリストとして現場に立ち続けてきました。現在は経営者としてサロン全体の運営に携わる一方、今も変わらずサロンワークを大切にしています。
お客様との対話や手に触れる時間を何よりも大切にしながら、後輩ネイリストの育成や、働きやすいサロン環境づくりにも力を入れています。
ネイルに対する想いや日常のサロン風景は、Instagramでも発信中です。リアルな現場の空気を感じていただけると思いますので、ぜひご覧ください。