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ネイルサロンの未来を歴史から考える|髪結いはなぜ消えたのか

髪結い

髪結いはなぜ消えたのか

ネイルサロンの未来を考えるための、ひとつの歴史

ネイルサロンは比較的新しい仕事だと言われます。
ですが、歴史を振り返ると、よく似た役割を持つ職業は何度も生まれ、そして姿を変えてきました。
その代表例が、江戸から明治にかけて存在した「髪結い」です。

髪結いの衰退は、単なる人気低下ではありません。
そこには、現代のネイル業界にも通じる重要な示唆があります。


髪結いとはどんな仕事だったのか

髪結いは、日本髪や髷を専門に結う職人でした。
当時の日本髪は構造が非常に複雑で、一般の女性が自分で結うことはほぼ不可能。
そのため、定期的に髪結いを頼むことが生活の一部になっていました。

・高度な専門技術
・定期的な来店が必要
・常連や指名が中心
・口コミと信頼がすべて

今の言葉で言えば、髪結いは「サロン型の技術職」でした。

髪結いは、日本髪や髷を専門に結う職人

衰退の始まりは「明治維新」

髪結いが衰退し始めたきっかけは、明治維新です。
断髪令や文明開化により、日本髪そのものが時代遅れと見なされるようになります。

ただし、この時点で髪結いの仕事がすぐになくなったわけではありません。
芸者や既婚女性、年配層を中心に、まだ一定の需要はありました。

しかしここで、ひとつの変化が起きます。
「これからの時代の主流」から外れ始めたのです。


決定打となった「自分でできる」という変化

次に起きたのが、技術の簡略化です。

洋髪が普及し、ピンやゴムを使えば、ある程度の髪型は自分で整えられるようになりました。
鏡や道具も一般家庭に広がり、「専門職に頼まなくてもいい」状況が生まれます。

髪結いの価値は、
「難しくて、自分ではできない」
という点にありました。

その前提が崩れたことが、衰退を大きく加速させます。


生活様式の変化が追い打ちをかけた

さらに、生活そのものが変わります。

着物から洋服へ。
正座から椅子へ。
家事や労働の内容も変化しました。

日本髪は、
・時間がかかる
・動きにくい
・維持が大変

日常生活と合わなくなっていきます。

結果、日本髪は「特別な日のもの」へ。
日常的なメンテナンス需要は、ほぼ消えてしまいました。


生き残った人たちは、姿を変えた

ここで重要なのは、髪結いが完全に消えたわけではないという点です。

洋髪を学び、
カットやパーマを取り入れ、
店舗型のビジネスへ移行した人たちは、
やがて「美容師」となりました。

髪結いという職業は終わりましたが、
「髪を整える仕事」そのものは、形を変えて続いています。

カットやパーマを取り入れ

髪結いが教えてくれる本当の衰退理由

髪結いが衰退した理由を一言で言えば、
技術が劣ったからでも、努力不足でもありません。

・社会における必要性が変わった
・代替手段が生まれた
・定期性が失われた

この条件が重なったことで、役割が終わったのです。


ネイルサロンとの決定的な違い

現在のネイルサロンは、髪結いの末期状態には当てはまりません。

・セルフとプロの差がまだ大きい
・定期的な来店が前提になっている
・美意識や自己表現として進化し続けている
・医療・福祉・ブライダルなど用途が広がっている

つまり、ネイルはまだ「役割が終わる段階」にはありません。


それでも注意すべきこと

もし将来、
誰でも簡単に完璧なネイルができるようになり、
ネイルそのものが特別ではなくなったとしたら。

その時、ネイル業界も髪結いと同じ分岐点に立つことになります。

だからこそ必要なのは、
技術だけに依存しない価値です。


これからの時代に残るのはどんな事業体か

歴史が示しているのは、とてもシンプルです。

残るのは、
人を育て、
人を守り、
仕組みをつくり、
役割を進化させる事業体。

技術者を消耗品にせず、
長く働ける前提を持つ場所だけが、
次の時代へと引き継がれていきます。


おわりに

髪結いの衰退は、過去の話ではありません。
これは、今を生きる私たちへの警告でもあり、ヒントでもあります。

ネイルサロンが次の時代に残るかどうか。
その答えは、流行ではなく「構造」の中にあります。

この記事を監修した人
ネイルサロン代表/JNEC1級ネイリスト /ジェル検定上級/(JNA)ネイルサロン衛生管理士/(JNA)ネイルサロン技術管理者 /アメリカ政府認定 カリフォルニア州 マニキュアリスト ライセンス取得
YUNO

監修:田口裕子(通称 YUNO)
(株)アンドクリエーションズ:代表
ネイリスト協会正会員 番号(1-07636)
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ネイリスト歴28年
サロン運営歴24年
ネイルスクール講師歴19年

厚生労働省 認可サロン(第1017033号/指定番号103号)、
日本ネイリスト協会: 認定サロン(登録番号0723-001)を運営。

通称「YUNO先生」。福岡市内でサロンを経営し、専門校の非常勤講師15年を務めています。現場経験を活かしてスタッフ育成・教育・業務委託契約・独立支援など、サロン運営全般を担当。採用情報や開業を考えるネイリストに向けて、実務経験と業界知識に基づいた情報を監修しています。

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