ネイリストとして20年を過ぎて。実際の生活のリアルを公開
■ はじめに:ネイリスト20年の歩み
「20年」という時間が与えてくれたものは、技術だけではありません。
お客様との関係性、家族とのバランス、自分自身の在り方。
今日は“ネイリスト歴20年”の私が、リアルな生活についてお話しします。
■ 1. キャリアのスタートと転機
■ 資格を取ったきっかけ
今でこそ「20年のネイリスト歴」なんて言っていますが、最初の一歩は本当に些細なものでした。
きっかけは、当時通っていたネイルサロンで「爪って、こんなに変わるんだ…」と感動したこと。
まだ私の頃はジェルネイルが無かった頃、スカルプ一色の頃です。何気なく飾ったネイルが、なんだかその日1日を前向きにしてくれたんです。
「こんな仕事、素敵だな。私も誰かの気持ちを明るくできる存在になれたら…」絶対流行る!
そんな思いから、趣味感覚でネイルスクールに通い始めました。
最初は本業の合間に週1回。ネイル自体もまだ一般的じゃなかった頃なので、ひたすらアクリル作りとフレンチの練習。
正直、「検定?そんなのプロ志望の人が受けるものでしょ」くらいに思っていました(笑)
でも、やればやるほど奥が深い。
モデルを探しては練習して、「もっと上手くなりたい」「もっとできることを増やしたい」と思うように。
そのうち、自信が少しずつ積み重なってスクールまで開業しました。ちょうど30歳のとき。
人生の節目で、「一度きりの人生、やりたいことをやってみよう」って思ったのが、本当のスタートかもしれません。
■駆け出しの頃に苦労したこと
資格を取ったからといって、すぐにプロのネイリストとして順風満帆だったわけではありません。
むしろ、ここからが本当の試練の始まりでした。
一番苦しかったのは、「技術」と「お客様対応」のギャップ。
スクールではきれいなフォルムとか仕上がりの美しさを徹底的に学びますが、いざ現場に立つと、
「スピード」「会話のテンポ」「提案力」など、机上の技術だけじゃ通用しない現実がありました。
例えば、緊張で手が震えてアートがにじんだり、想定以上に時間がかかって後ろのお客様をお待たせしたり…。
しかもお客様は、ネイルだけじゃなく気分を整えに来ている。
会話の間の取り方一つ、ちょっとした表情一つでも「また来たい」と思ってもらえるかが決まってしまう。
それが怖くて、家に帰ると毎日のように反省ノートをつけていました。
あと、体力も地味にキツかったです。
慣れないうちは前傾姿勢で腰も肩もバキバキ…。
それでも「もっと上手くなりたい」「また指名してもらいたい」という気持ちが、なんとか踏ん張らせてくれました。
今思えば、あの時の自分へのダメ出し癖が、少しずつ成長につながったんだと思います。
でも、あの頃の自分にひとこと言えるなら──「そんなに自分を責めなくて大丈夫だよ」って、優しく声をかけてあげたいですね。
■技術よりも「人との関わり」が難しかったこと
ネイルの技術は、練習すればするだけ少しずつ手応えが出てきます。
でも「人との関わり方」だけは、どれだけ本を読んでも正解がない。
これが、ネイリストとして一番悩んだことかもしれません。
特に駆け出しの頃は、「お客様とどう接すればいいのか」常に手探り状態でした。
会話が弾まなかった日は「私のせいかな?」と落ち込み、
逆にちょっと踏み込みすぎた日は「出すぎた真似だったかな」と自己嫌悪。
毎日が「感じ取りゲーム」のようでした。
中でも難しかったのは、沈黙の時間の扱いです。
話しかけた方がいいのか、そっとしておいた方がいいのか…。
空気を読みすぎて、変に気を遣いすぎて、逆にぎこちない空間にしてしまったこともありました。
でも、ある日ふと気づいたんです。
「無理に話さなくてもいい。お客様のペースを尊重すれば、それが一番心地いい接客になる」って。
それからは、施術前のカウンセリングのときに、
「今日、たくさんお話されたいですか?静かに過ごされたいですか?」と、自然に確認するようにしました。
このほんのひとことで、お客様との関係性がぐっと変わった気がします。
技術も大事。でも“信頼される人柄は、もっと大事。
そう実感するようになってから、指名のお客様も少しずつ増えていきました。
■ 結婚・出産・離婚──ライフステージごとの選択
ネイリストとしてのキャリアは、女性としての人生とも深く絡み合っています。
私も例外ではなく、この20年の間に結婚・出産、そして離婚も経験しました。
ライフステージが変わるたびに、「この仕事を続けていけるのか?」と自分に問い続けてきました。
結婚したのは、ネイリストになって5年目。
当時は仕事にのめり込んでいて、「仕事を辞めたくない、でも家庭も大切にしたい」そんなジレンマの中で、時間の使い方を必死に模索していました。
夫も最初は応援してくれていたけれど、サロンワークは夜までかかることも多く、次第にすれ違いが増えていったのも事実です。
出産は、人生でもっとも大きな転機でした。
産休をとっている間、「もう戻れないかもしれない」と何度も不安になりました。
技術の感覚は鈍っていないか?時代のトレンドに取り残されていないか?
でも、それ以上に不安だったのは、「お客様が私のことを忘れていないか」でした。
実際に復帰したとき、少しずつでも「おかえりなさい」と言ってくださるお客様がいて、涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。
その後、離婚も経験しました。
もちろん、簡単な決断ではありませんでした。
でも、不安定な家庭の中で無理に「いい母・いい妻・いいネイリスト」を続けようとしても、自分が壊れてしまうと思ったんです。
離婚後は「自分の手で子どもを育てる」という覚悟を決め、働き方もガラッと変えました。
時短勤務、イベントセミナー、ネイルスクールなど、いろんな形を試しながら、今の自分らしく働けるスタイルにたどり着いた気がします。
ライフステージは予測できない。でも「ネイルの仕事を軸にする」と決めていたから、ブレずにここまで来られたのかもしれません。
■ 2. 今、どんな生活をしているか(リアルな1週間)
■ お客様とのサロンワーク
サロンワークは、毎日が一期一会の連続です。
でも、通ってくださるお客様の多くが、何年・何十回と私の席に座ってくださっている
そう思うと、この仕事の「深さ」をしみじみと感じます。
朝、サロンに入るときにはいつも「今日はどんな1日になるかな」と少しワクワク。
ご来店の瞬間に見せるお客様の表情から、「今日はおしゃべりしたい日か、静かに過ごしたい日か」を感じ取るところからスタートです。
施術中は、ネイルの仕上がりだけじゃなく、
その日のお客様の気分まで整えるつもりで向き合っています。
たとえば「ちょっと疲れてるのかな?」と感じたら、手元をやさしく包み込むように触れたり、
あえてゆっくりとしたテンポで話しかけたり。
そういう間の取り方や、空気の柔らかさって、技術とはまた違う「プロの力」だと思っています。
また、20年も続けていると、お客様の人生の節目に立ち会うこともあります。
「結婚が決まりました」「今度、子どもが生まれるんです」なんて報告を、
ネイルチェアの上で聞かせてもらえることも。
そんなときは、心の中で「あなたの節目に関われて幸せです」ってつぶやきながら、
指先に想いを込めて仕上げます。
もちろん、時にはクレームやすれ違いもあります。
でも、そういった経験も含めて、「人と関わる仕事」の奥深さを教えてくれたのが、サロンワークでした。
お客様と一緒に歳を重ねていけること、変わらず選び続けてもらえること
それが今の私にとって、なによりの誇りです。
■ 土日:予約の状況やシングルマザーとしての家族との時間
ネイリストとして働くうえで、土日が稼ぎどきというのは、きっとどの時代も変わらないと思います。
平日よりも予約が集中するので、どうしてもシフトはフル稼働になりがち。
でも、私はシングルマザーという立場もあるので、「どう働くか」と同時に「どう家族と過ごすか」も常に悩みながら調整してきました。
現在の私の土日は、だいたい午前〜夕方までがサロンワーク。
お昼ごろまではリピーターさんが中心で、夕方にかけては土日しか来られない新規のお客様が増えてきます。
特にイベント前や季節の変わり目は予約が埋まりやすく、早めに調整しておかないと自分の生活まで圧迫されてしまうので、入れすぎない勇気も必要になりました。
子どもがまだ小さい頃は、正直かなり大変でした。
朝から夜まで働いて、帰宅したらご飯・洗濯・お風呂…自分の時間なんてまったくなかった。
でも、あの時期があったからこそ、「手を抜くところ」と「丁寧にやるところ」のバランスが見えてきた気がします。
最近は成長して、休日は子どもも自分の世界ができてきました。
それでも、「日曜の夕方は一緒にごはんを食べる時間」と決めて、どんなに疲れていてもその時間だけは崩さないようにしています。
たとえば、スーパーで一緒に食材を選んで、簡単でもいいから一緒にキッチンに立ってみる。
そんな小さな積み重ねが、家族との絆の補修作業になっているのかもしれません。
仕事も家庭も、完璧じゃなくていい。
でも「自分が大事にしたいもの」をちゃんと選びながら暮らしていくこと。
それが、ネイリストとして長く続けていくための土台だと思っています。
■ プライベートの過ごし方(買い出し、趣味、勉強会など)
ネイリストの仕事って、見た目以上に集中力も体力も使うんです。
だからこそ、プライベートでは気を張らない時間を意識的に作るようにしています。
たとえば、買い出しは気分転換も兼ねた大事なルーティン。
お気に入りのスーパーに行って、季節の野菜を手に取ったり、晩ごはんの材料をゆっくり選んだり。
その間だけは、頭の中も施術の段取りから完全に離れて、素の自分に戻れる時間です。
それから最近の楽しみは、ちょっとした手芸や読書。
「何かを作る時間」が好きで、昔から編み物やレジン、たまに子どもと一緒にUVランプで簡単なアクセサリーを作ったりもしています。
まったくネイルと関係ないことに集中すると、不思議と頭がスッキリして、翌日の仕事にも前向きな気持ちで向かえるんですよね。
あと、技術の勉強会やセミナーも、定期的に参加しています。
ネイル業界は本当にトレンドの流れが早いので、「これくらいでいいかな」と思った時点で置いていかれる気がして…。
でも不思議と、学び続けることって楽しいんです。
今も現場で働きながらアップデートできる環境があることに、感謝しています。
プライベートの時間は、仕事をより楽しむための土台作り。
オンとオフ、両方の自分をちゃんと大切にしていけるようになったのは、やっぱり20年続けてきたからこそだなと感じています。
■ 収入や働く時間帯の変化
ネイリストとして20年。
正直に言えば、収入が右肩上がりだったわけではありません。
むしろ、ライフステージや働き方の選択次第で、何度もアップダウンを経験してきました。
駆け出しの頃は、スクール卒業後にサロンに勤務して、いわゆるアシスタント待遇。
月給は手取りで十数万円程度。交通費も自腹で、ランチ代を節約する日々。
それでも、「この世界で生きていきたい」という思いだけでがむしゃらに働いていました。
その後、指名がつき始めて歩合に変わり、技術だけでなく「信頼」が収入に直結することを実感。
結婚・出産を経て時短勤務や業務委託に切り替えた時期は、時間を制限するぶん当然収入も減りましたが、
「自分のペースで働ける心のゆとり」を優先したかったんです。
離婚後は生活のためにも収入を確保する必要があり、働く時間帯を自分の裁量で調整できる環境にシフト。
たとえば、朝は子どもを学校に送り出してから出勤し、夕方前には予約を切って帰宅。
その分、1日に受けるお客様の人数を計算しながら、単価や施術内容を工夫するようになりました。
現在は、無理せず月20〜23日程度の稼働で安定した収入を得られるように。
たくさん働いて、たくさん稼ぐというより、
「働く時間=生活の質」だと考えるようになってからは、収入と満足度のバランスがとても良くなった気がします。
技術を磨き、人との関係を築き、信頼を重ねたからこそ、
選べる働き方ができるようになった。
それが、20年続けてきた中で得られた一番大きな財産かもしれません。
■ 3. 20年続けてよかったと思う瞬間
■ 長年通ってくれているお客様の存在〜
「ネイリストという仕事を、ずっと続けてきてよかった」
そう思える瞬間は、決して特別な出来事だけではありません。
たとえば、10年以上ずっと通ってくださっているお客様が、
「今月は、少しピンク濃いめにしてみようかな」と笑顔で言ってくださったとき。
そのちょっとした変化に、季節や心の動きが見えて、
「この方の人生に、私は静かに寄り添えているんだな」と感じるのです。
ネイルって、ほんの1時間半〜2時間の施術だけれど、
その間に交わされる会話や沈黙、笑い声、ため息…
そういう一つひとつが、年月をかけてお互いの信頼になっていく。
中には、10代で来てくれていた子が、結婚して、今では子育ての話をしてくれるようになったり。
「実は、昔このサロンでネイルしてもらったんです」って、自分の娘さんを連れてきてくれたお客様もいて、
そのときは胸がいっぱいになりました。
ネイルの技術だけでなく、人としての関わりを重ねていけるのがこの仕事の素敵なところ。
流行や年齢に関係なく、「この人に任せたい」と思ってもらえる関係性は、時間をかけたからこそ築けるものです。
毎月のご予約のやりとりに、
「今月もお願いします♡」という一言が添えられているだけで、
私は、またこの仕事を続ける力をもらえるのです。
■ 技術より「信頼」で選ばれる喜び
もちろん、ネイリストとして技術を磨くことは大切です。
でも、この仕事を長く続けてきて思うのは、「技術だけではお客様は通い続けてくれない」ということ。
20年前の私は、フォルムの綺麗さやアートの正確さにこだわってばかりで、
「もっと上手くなれば、お客様が増える」と信じて疑いませんでした。
でも、あるときふと気づいたんです。
何年も通ってくださる方たちが、必ずしも華やかなアートを求めているわけではないことに。
むしろ、シンプルなワンカラーやケアだけをずっと続けている方も多い。
では、なぜ通ってくださるのか?
それは、技術以上に「安心感」や「信頼感」を感じてくれているから。
「ここに来るとホッとする」
「何も言わなくても、わかってくれる」
「無理な提案をされないから安心できる」
そんな言葉をいただいたとき、心から嬉しくなります。
ネイルの仕上がりももちろん大事。
でもそれ以上に、この人と過ごす時間が心地いいと思ってもらえることが、ネイリストとしての本当の喜びなんだと気づきました。
トレンドを追いかけなくても、デザインを競わなくても、
「あなたにお願いしたい」と言ってもらえる関係性がある。
それが、20年のキャリアの中で得た一番のご褒美です。
■ 若いネイリストの成長を見守る立場になったこと
気づけば、私も「ベテラン」と呼ばれる側になりました。
今では、サロンに入ってくる若いネイリストたちを教えたり、相談に乗ったりする立場にいます。
でも正直に言うと、最初の頃は**「教える」ことに自信が持てなかった**んです。
自分が歩いてきた道は、自分なりのやり方であって、誰かに押しつけていいものじゃない。
だからこそ、「こうすべき」「こうじゃないとダメ」という言い方はしないように心がけてきました。
そのかわり、何か困っていそうな時や、悩んでいそうな表情をしている時には、
そっと声をかけるようにしています。
「私も昔、そうだったよ」って、ただ一緒に笑ったり、話を聞くだけでいいと思うんです。
技術が上手くできなくて落ち込んでいる新人さんに、
「でもその気持ち、大事だよ。そう思えるってことは、すでにちゃんと成長してるってことだから」
と伝えると、少しホッとした顔になる瞬間があります。
何より嬉しいのは、そんな彼女たちが、少しずつお客様と向き合う姿が変わっていくのを見るとき。
最初はぎこちなかった笑顔が自然になり、会話も弾み、指名が入るようになっていく。
その姿を見るたびに、「ああ、この仕事って本当に素晴らしいな」と、あらためて感じさせられます。
今の私にとってのやりがいは、ネイルの仕上がりだけじゃなくて、
人の成長に立ち会えること。
それは、過去の自分にも向けられたエールのようで、
少し照れくさいけれど、確かな誇りでもあります。
■ 4. 続けるために必要だったこと
■ 〜技術のアップデート〜
ネイリストという仕事を20年続ける中で、変わらなかったものもあるけれど、驚くほど変わったものもたくさんあります。
その中でも特に大きかったのが、技術の進化と流行の変化。
ジェルネイルが登場した当初は、まだまだ「もちが悪い」「固めすぎる」などの声も多くて、
今のように当たり前のメニューになるとは思っていませんでした。
でも今では、ベースの選び方一つでモチの良さが変わるのはもちろん、
フォルム、カラー調合、フィルイン、マシンワーク…と、まさに技術の幅は広がる一方。
でも、今でもスカルプの長さ形が好きです。ワクワクしてきます。(笑)そしてそれに伴って、お客様の目もどんどん肥えていくんですよね。
SNSや動画を通じて、ネイルに詳しくない方でも最新の技術やデザインを知っていたりして、
「こんなのできますか?」と画像を見せられることも増えました。
最初は正直、焦りました。
「もう若い子には敵わないかもしれない」なんて、ちょっと後ろ向きな気持ちになったことも。
でも、ふと思ったんです。
変化を恐れるのではなく、変化を味方にできればいいって。
そこからは、無理に背伸びはせずに、
「自分のペースでできる範囲から学び直そう」と考え方を変えました。
例えば、若いスタッフに技術を教えてもらう代わりに、接客やカウンセリングのコツをシェアしたり。
そんなお互い様の関係性が生まれてからは、技術のアップデートも自然に楽しめるようになりました。
技術は、止めた瞬間に古くなる。
でも、続けていれば、どんな立場でも、どんな年齢でも、今をキャッチし続けられる。
そう思えるようになった今、ネイルの世界がますます面白くなっています。
■ 〜自分の心のメンテナンス〜
ネイリストの仕事は、見た目には華やかでも、想像以上に「気力と集中力」が求められる職業です。
毎日何人ものお客様に全力で向き合い、手元の細かい作業に神経を集中させながら、会話にも気を配る。
その繰り返しは、知らず知らずのうちに心のスタミナを削っていきます。
私自身、20年の中で何度も「もう、しんどいな」と思ったことがありました。
特に子育てとの両立や、プライベートがうまくいっていない時期は、
サロンに行くことすら少し億劫に感じる日もありました。
そんなときに大切にしていたのが、心のメンテナンス。
まず意識していたのは、「頑張りすぎないこと」。
毎日100点を目指すと、自分がどんどん苦しくなっていきます。
だから、「今日は80点でもいい」「少し雑談を控えて、黙々と施術してみよう」
そうやって、自分に余白をつくるようにしていました。
次に取り入れたのは、「一人の時間を楽しむ」こと。
お気に入りのカフェでぼーっとしたり、帰り道に好きな音楽を聴いたり、
短時間でも「誰でもない自分」に戻れる時間を意識して作っていました。
それともうひとつ。
「完璧じゃなくていい」と許すことも、すごく大きかったです。
少し予約が空いた日も「必要な休息」と思えるようになると、
心がすっと軽くなりました。
そして今は、無理をせず、でも手を抜かないというバランスが自分なりに見つかっています。
好きな仕事だからこそ、燃え尽きてしまわないように
仕事のことを忘れる時間を、意識して大切にしています。
■ 5. これからの目標と、後輩ネイリストへのメッセー
〜年齢にとらわれない「好き」の続け方〜
ネイリストとして20年が経った今でも、
私はこの仕事が「好き」です。
指先を美しく仕上げる瞬間も、お客様と交わすちょっとした会話も、
すべてが、飽きるどころかどんどん愛おしくなっています。
とはいえ、「年齢を重ねて、いつまで続けられるんだろう?」と考えることもあります。
目も疲れるし、腰にもくるし(笑)、若い頃のように1日フルで施術するのは正直しんどい。
でも、無理なくできる範囲で、自分のペースで続けられる環境を整えることも、これからの目標の一つです。
私はこれからも、お客様と丁寧に向き合いながら、
「派手ではなくても、信頼で選ばれるネイリスト」でいられたらと思っています。
そして、今からネイリストとして歩み始める後輩のみなさんへ。
「私は向いてるかな?長くやっていけるかな?」って、不安になる気持ち、よくわかります。
でも大丈夫。ネイルが好きという気持ちがあるなら、あとは自分のやり方で、その好きをどう続けていくかだけです。
技術に自信がなくても、接客が苦手でも、誰かの役に立ちたいという気持ちさえあれば、
ちゃんとあなたらしいネイリストになれます。
そして、年齢はただの数字。
20代でも、40代でも、60代でも、自分の好きに正直に生きている人は、どんなネイルよりも美しいと思います。
無理に焦らなくていい。
比べなくていい。
あなたのペースで、あなたのスタイルで、ネイリストという仕事を楽しんでください。
■ 「無理しない働き方」を大切にしてほしい
ネイルの仕事って、本当にやりがいのある素敵な仕事です。
でも同時に、気を遣いすぎたり、がんばりすぎてしまう人ほど、消耗しやすい世界でもあると思います。
「もっと上手くなりたい」
「もっとお客様に喜んでもらいたい」
そんな気持ちはすごく大事。だけど
無理を続けることが努力ではないということ、どうか忘れないでほしいなと思います。
たとえば、毎日遅くまで練習したり、すべての予約を詰め込んだり。
それが続いて、自分の心や体が疲れてしまったら、きっとネイルを好きでいられなくなってしまう。
それって本当にもったいないことです。
私も昔は、「休むとダメな気がする」「がんばってる人に負けたくない」と思っていた時期がありました。
でもあるとき気づいたんです。
無理をしなくなってからの方が、お客様との関係が穏やかで長く続くようになったって。
ちゃんと休む。ちゃんと笑う。ちゃんと「今日はちょっとだけ力を抜こう」と言える。
そんなふうに自分を大事にできるネイリストの方が、結果的に長く愛されるんだと思います。
だから後輩のみなさんには、頑張ることよりも「心地よく働くこと」に、もう少し自信を持ってほしい。
無理をしなくても、誰かを幸せにできる技術と心は、ちゃんと身についていきます。
無理しない働き方こそが、長く続けるためのいちばんの近道。
それをどうか忘れずに、自分のペースでこの仕事を楽しんでいってくださいね。
■ お客様との関係性を一番に考える姿勢を持っていてほしい
ネイルの仕事は、「爪をキレイにする」だけではありません。
本当に大切なのは、目の前のお客様とどう向き合うかだと、私は思っています。
お客様はただネイルをしに来るのではなく、
癒されたくて来たり、自分に自信を持ちたくて来たり、
時には誰にも言えない気持ちを抱えて、そっと扉を開けてくれることもあります。
そんなお客様にとって、ネイリストは「技術者」でありながら、「聞き手」でもあり、「空気づくりのプロ」でもある。
だからこそ、どんな場面でも「この人といると安心するな」と思ってもらえる関係性を築くことが、一番大事だと感じています。
ネイルデザインが完璧でも、言葉や接し方で不快な思いをさせてしまったら、それは心に残るネイルにはならない。
逆に、デザインはシンプルでも、「また来たい」と思っていただける時間を提供できたら、それが本当の信頼に変わっていきます。
私自身も、たくさんの失敗をして学びました。
「言葉が足りなかったな」「あの時、もっと寄り添えたらよかったな」と反省することも何度もありました。
でもそのたびに、「次はもっとお客様の気持ちを考えて動こう」と決めてきました。
若いネイリストさんたちには、技術力=信頼ではないということを、どうか心に留めておいてほしい。
うまくできない日があっても、言葉や気配りで信頼は築けます。
そして信頼があるからこそ、お客様は少しずつ心を開いてくださり、リピートにもつながっていきます。
これから先どんな時代になっても、「この人に会いに行きたい」と思っていただける存在を目指して
お客様との関係性を一番に考える姿勢を、どうか忘れずにいてくださいね。

■ おわりに:ネイリストという仕事は「続けていける」仕事
ネイル業界は変化が早い。でも、丁寧に人と向き合っていれば、長く続けていける。
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